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TIA事業リポート

11月

「とちぎ多文化共生フォーラム2024」

11月2日(土) とちぎ国際交流センター

 「多文化共生、これまで と これから」をテーマに地域における多文化共生を考えるフォーラムを外国人パネリストと国際交流団体代表者を迎えてパネルディスカッション形式で行いました。

コーディネーター:臼井佳子氏(NPO法人宇都宮市国際交流協会理事)
パネリスト:ジャベリア チョーダリー氏(パキスタン出身)
      アエプ サエプディン氏(インドネシア出身)
      如月紀香氏(ペルー出身)
      張廸氏(中国出身)
      阿久津容子氏(清原地区国際交流会代表)

(概要)

〔ジャベリア チョーダリー氏〕
・中学入学前に遊びのつもりで来日した。最初は友だちと会話ができず、3か月は翻訳機に頼った。小学校、中学校、高校を卒業し、県内の会社に就職した。
・外国人を理解してくれた先生方のおかげで日本語の力をつけることができたし、プログラマーにもなれたと思っている。
・以前より学校の対応に変化を感じる。小学生の妹も配慮してもらっている。
・イスラム教は毎日5回お祈りをするが、会社ではできないものと思っていた。しかし、就職の面接の際に面接官からお祈りについて質問され希望を伝えることができた。外国人は自分を抑えることなく発信することも大切。また日本人も外国人について知っている情報が正しいかわからないので、積極的に話しかけて質問してほしい。

〔アエプ サエプディン氏〕
・インドネシアは人が多く、気候が温かい。来日したころ、通りに人がいないので驚いた。留学生や技能実習生等はだいたい一人か二人で過ごすことが多いので寂しい。
・以前に比べて技能実習生が増えている。実習生は来日前に送り出し機関から日本の生活についてレクチャーを受けるが、言葉のみだと理解が難しい。日本で実際に体験しながらルールを教えてもらうとよく理解できて、日本人ともより仲良く、楽しく暮らすことができるのではないか。
・技能実習生など外国人は来日前に日本語を勉強してきている。挨拶もどのように言うか知ってはいるが言えない人も多い。挨拶できない悪い人ということではなく、恥ずかしくてできない。外国人を見かけたらぜひ関わってほしい。日本人も外国人も心は一緒だ。外国人としては日本人から先に声をかけてくれると本当に嬉しい。 

〔如月紀香氏〕
・15歳のときに日本にいる両親に来日するように言われて来た。ペルーでの生活が楽しかったので嫌だったが従うしかなかった。
・日本語ができないながらも様々な仕事をした。ゴルフキャディーをしていたとき、お客さんの言っていることが理解できず、しっかり返事ができなかったところひどく怒られた。その時にお金を貯めて日本語をしっかり勉強しようと決心した。
・以前より物価が高くなり、外国人に対する法律も厳しくなったと感じている。以前より飛行機代は約2倍となり、仕送りしても円安の影響で大した金額にならない。
・外国人と日本人が仲良くやっていくためにはコミュニケーションが大切。日本語教室などがさらに支援してくれるといい。仕事の都合で継続できなくて申し訳なく思う外国人も多いので、1回でもいいから来てくださいというメッセージがあると有難い。また、役所の窓口などでやさしい日本語を使ってほしい。敬語で言われるとわからない。 

〔張廸氏〕
・大学卒業後に来日し自動車開発関連の仕事をしている。妻の出産と育児のため途中帰国していた時期もあるが、再度子どもの教育のために来日した。中国の教育より日本の教育のほうが勉強ばかりでなく、遊ぶ時間、体育、芸術も重視しバランスがいいと思う。
・以前は日本語に苦労したが、滋賀県に住んでいたころ地域の日本語教室に参加し日本語がうまくなった。教室に通っているうちに、友だちのような付き合いもできるようになった。
・通勤でLRTを利用しているが、外国人が多くなったと感じる。また在宅勤務が増えたり、育児や介護の配慮など働きやすい環境になっていると思う。
・多文化共生のためには大きな視点でいうと平等が必要だと思う。日常生活や仕事において外国人だから機会を与えないということはないようにしてほしい。また、日本人の目から見て、外国人が間違っているような行動をしているように思えても、悪意があってやっているとは限らないので、文化の違いなんだと理解してもらえるといい。 

〔阿久津容子氏〕
・25年前に清原地区で外国人住民が増えたことがきっかけで団体を立ち上げた。現在は、ボランティアで日本語教室、国際理解講座、料理教室を行っている。東日本大震災の被害を受けたことから、地域の方防災活動に最も力を入れている。
・日本語教室は外国人のためにやっているというより、外国人のみなさんと一緒に私たち自身も楽しんでいるという感覚がある。
・以前はごみ出しや騒音が問題になった。ごみ出しについては多言語の看板を作り、自治会長さんたちに場所のアドバイスを受けながら設置した。騒音については日本のルールを丁寧に説明するしかない。最近はもう慣れて特に問題はない。
・コロナ禍以降、オンライン学習や翻訳機能の普及で日本語学習者が減ってきている。災害のときなど、普段からあいさつをしていると声を掛け合い助け合える。地域でのコミュニケーションが大切なので積極的に外に出てほしい。

 参加者からは、「一人一人の話を伺ってみると背景がさまざまなので、コミュニケーションから始めることが大切だと感じた」、「今後のボランティア活動の参考としたい」など好評でした。

▲パネルディスカッション

宇都宮市役所「業務で使える!やさしい日本語研修」への協力

11月20日(水) 宇都宮市上下水道局 大会議室

 宇都宮市役所職員を対象に、増加する外国人住民にそれぞれの業務で対応するため「やさしい日本語」研修が実施され、TIA職員が協力しました。

 研修会では、外国人に伝わりやすい文書のポイントや事例、翻訳タブレット使用時の注意点のほか、やさしい日本語での窓口対応のロールプレイを通した実践演習を行いました。

 

▲参加職員のみなさん
▲外国人対応への工夫についての話し合い

宇都宮市立泉が丘中学校生徒がTIAで社会体験学習

11月26日(火)~29日(金) とちぎ国際交流センター

 宇都宮市立泉が丘中学校2年の安積 洸(あづみ こう)さんと岡本惺吾(おかもと せいご)さんの2名が、TIAで4日間、社会体験学習を行いました。

 両名は、TIAが進めている「多文化共生の社会づくり」に関する事業や、「やさしい日本語」普及事業について学んだあと、外国語担当の相談員(ベトナム語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、ネパール語、シンハラ語、タガログ語、英語、タイ語)から相談業務や外国文化などについて教わりました。そして、学んだ内容を言語ごとに模造紙にまとめました。これらの内容は、センター内の企画展示室で12月に展示します。

 その他、折り紙などを使ってクリスマス関連の飾り物を作成し、TIAライブラリー内を飾りました。

▲折り紙でクリスマスツリーを作った安積さん(右)と岡本さん
▲TIA相談員から学んだことを模造紙にまとめる二人

宇都宮東高校附属中学校生徒がTIAで社会体験学習

11月12日(火)~15日(金) とちぎ国際交流センター

 栃木県立宇都宮東高等学校附属中学校2年の久米陽貴(くめ はるき)さんと小林夏乃(こばやし かの)さんの2名が、TIAで4日間、社会体験学習を行いました。

 両名は、TIAが進めている「多文化共生の社会づくり」に関する事業や、「やさしい日本語」普及事業について学んだあと、外国語担当の相談員(ベトナム語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、ネパール語、シンハラ語、タガログ語、英語)から相談業務や外国文化などについて教わりました。そして、学んだ内容を言語ごとに模造紙にまとめました。これらの内容は、センター内の企画展示室で12月に展示します。

 その他、センターの交流ラウンジに毎年設置するクリスマスツリーの飾り付けを行いました。

▲久米さん(左)と小林さん(右)が飾り付けたクリスマスツリー
▲TIA相談員から学んだことを模造紙にまとめる二人

小山市国際交流協会主催 オンラインによる日本語教授法講座への協力

10月7日(木)~11月7日(木) オンライン

小山市国際交流協会主催のオンラインによる日本語教授法講座に、地域日本語教育コーディネーターが講師として協力しました。

全5回の講座で、地域の外国人の状況、日本語を学習したい外国人のニーズ、日本語教室や学習支援者の役割、学習支援の具体的な方法を、グループでの話し合いを交えて学びました。オンラインを通して、離れた地域の受講者同士が、交流を深めることもできました。

参加した方から、「講座が毎回楽しみだった」「学習したことを生かし、楽しみながら日本語のお手伝いができるようになりたい」 という感想をいただきました。

▲地域日本語教育コーディネーターと受講者